数十年にわたり、キャリアの選定はデータではなく、関係性に基づく意思決定でした。担当者に電話をかけ、運賃を確認し、貨物を動かす。それが業界標準でした。現在も多くの現場でその慣行は続いています。しかしこれからは、その「標準」には法的リスクが伴う可能性が生じています。
最高裁判所は2026年5月、Montgomery v. Caribe Transport II において全員一致で判決を下し、連邦法は輸送ブローカーに対する州法上の「不注意な雇用(Negligent Hiring)」請求を排除しないと裁定しました。すなわち、安全性に問題のあるキャリアを不注意に起用した貨物ブローカーは、州法に基づく訴訟の対象になり得るということです。通常の注意義務(Ordinary Care)に関する州の慣習法が、キャリア選定に適用されることになりました。
本判決の被告はブローカーですが、その判断の根拠は、キャリアを選定する意思決定に関わるあらゆる当事者に適用される可能性があります。不注意な雇用責任は、選定を行った当事者すべてに及び得ます。キャリアに直接荷物を委託する荷主、自社車両と外部輸送力を組み合わせて運用する荷主、社内にブローカー業務を保有荷主も、同様の法的理論に直面するおそれがあります。裁判所は今後数ヶ月から数年をかけて、その適用範囲を精緻化していくでしょう。しかし、今後の基準はおそらく次の一言に集約されます。「そのキャリアを選んだのであれば、その選択に責任を持つ」
物流業界に携わる人々にとって、カバノー判事の補足意見は極めて重要でです。カバノー判事は、ブローカーや荷主がどのような対応を取っていれば、不適切な雇用訴訟に対して適切に反論できるのか、その考え方を示しています。文書化された根拠に基づいてキャリアを選定し、選定時点で何を把握していたのかを説明できる場合、不適切な雇用に関する訴訟に対して防御できる可能性が高いということです。カバノー判事は原告の訴訟代理人の発言を肯定的に引用し、「ブローカーは、キャリアに対して厳しい質問をしていれば問題にはならない」と述べています。
カバノー判事のこの見解は、Montgomery判決後の時代における、ブローカーと荷主の新たな業務標準の基盤となる可能性があります。
荷主・ロジスティクス・サービス・プロバイダ(LSP)にとって重要なのは、場合によってはキャリア選定から何年も経過した後であっても、次の4つの問いに即座に答えられるようにしなくてはならないということです。FMCSA評価(連邦自動車運送安全局の安全格付け)、事故率、オンタイム・デリバリ実績、検査履歴を含め、当該キャリアの安全記録について何を把握していたか。予約前にどのような確認を行ったか。受注後に状況が変化した際、どのような対応を取ったか。そして、意思決定を裏付けるタイムスタンプ付きの監査可能な記録を提示できるか。
project44をご利用中のお客様へお伝えしたいことがあります。貨物運賃アナリティクス(Freight Procurement Analytics)またはインテリジェント輸配送管理ソリューション(iTMS)の見積もり取得およびブッキング(Rating and Booking)機能を通じてキャリア選定を行ってきたのであれば、すでにその記録は構築されています。すべての運賃比較には、コスト・パフォーマンスデータとともにCarrier Assure スコアが表示されています。すべての予約決定は、タイムスタンプと選定根拠とともに記録されているからです。
文書化されたデータドリブンなワークフローを通じてキャリア選定を行っていない荷主・LSPにとって、進むべき道は明確です。裁判所が設定した基準は、達成不可能なものではありません。「妥当なな注意(Reasonable Care)」が求められているのです。妥当な注意とは、予約前にFMCSAの安全格付け、事故率、検査履歴を確認することを意味します。なぜその選択肢を選んだかを記録することを意味します。メールスレッドとスプレッドシートを2週間掘り起こすことなく、その意思決定を再現できることを意味します。
Carrier Assure スコアをネイティブに組み込んだインテリジェント輸配送管理ソリューション(iTMS)は、この新しい業務標準をデフォルトの動作にします。監査証跡はワークフローの副産物であり、追加作業ではありません。
キャリアを起用し、問題が発生した後に文書化された対応を一切取らなかった荷主またはブローカー、あるいは問題の存在自体に気づいていなかった荷主またはブローカーは、Montgomery判決後の世界において不注意な雇用請求に対する反論に苦慮するおそれがあります。トラックがどこにあったか、どの例外アラートが発火したか、どのような対応を取ったかが記録された、完全なタイムスタンプ付きの記録こそが、不注意な雇用やキャリア選定に関連するその他の州法上の請求に直面した際の、勝敗を分ける要素となり得ます。
project44のプラットフォームは、出発地から配送先まで、すべての輸送ロットを通じて、こうした記録を自動的に生成します。その記録が存在するのは、プラットフォームがそのように設計されているからです。誰かが書き留める先見性を持っていたからではありません。
project44は2014年、グローバル物流が1970年代のインフラ——EDI、電話、スプレッドシート——で運用されていた時代に創業しました。業界は情報の死角を抱えたまま動いていました。それから11年、意思決定インテリジェンスプラットフォームは25万9,000社以上のキャリアと、あらゆる主要輸送モードを横断して、年間15億件以上の出荷を接続しています。
混乱の到来を察知するだけでは、貨物を守ることはできません。貨物を動かすことが重要なのです。今朝の最高裁判決は、業務の卓越性と法的防御力を、同一の課題として位置づけました。
この局面を最も強固な立場で乗り越えられる荷主やLSPは、キャリア選定をすでにデータとワークフローの問題として捉えてきた企業です。それ以外の企業にとって、今日が取り組みを始める好機です。



