サマリー:
- 第10週(3,788件)と第11週(3,718件)は、混乱開始以来、最も件数が少ない2週間となりました。第11週は第10週比で1.8%減少しており、これは11週間の期間中で週ごとの変化が最も小さかったことを示しています。
- 第11週におけるジェベル・アリ港(UAE)の輸入滞留日数は52.53日を記録しました。これは紛争前の基準値である7.95日の6.6倍に相当し、11週間を通じてデータセットの中で最も負荷の高い港湾であり続けています。
- トルコの2港湾(イスケンデルンの24.28日、メルシンの21.91日)とインドの2港湾(エンノールの16.85日、ハジラの15.08日)が第11週の輸入滞留時間上位6港に入り、混雑がペルシャ湾岸地域を越えて波及していることが明確になりました。
- 第11週のアブダビ港(UAE)における輸出滞留日数は69.27日に達し、紛争前の基準値13.17日の5倍以上となりました。また、ジェベル・アリ港(UAE)では基準値17.16日に対し59.54日を記録しました。アラブ首長国連邦(UAE)の諸港における出荷フローの制約は入荷フローよりも著しく深刻化しています。
- 第11週の主要なルート変更レーンは、ドバイ(ジェベル・アリ)からホール・ファッカンへ(UAE)の526件で、次いでサウジアラビアののジェッダからオマーンのサラーラ(355件)、サラーラからジェッダ(195件)となりました。これら3つのレーンだけで、第11週のルート変更全体の29%を占めています。
- 喜望峰経由のルート利用は依然として高い水準にあります。南アフリカのダーバン港では第11週の入港数が76,151 TEU、出港数が72,336 TEUを記録し、いずれも紛争前の週次平均(それぞれ56,272 TEU、53,930 TEU)を大きく上回りました。
- パキスタンのグワダル港は、オーバーフロー(溢れた貨物)を受け入れる港として台頭する兆しを見せています。4月19日から4月30日の間に3隻の寄港が確認され、計645 TEUの動きがありました。紛争前の基準期間には同等の活動は見られず、今後の監視が必要です。
概要
ホルムズ海峡の混乱から11週間が経過し、輸送ネットワークはより持続的な段階へと落ち着きました。ルート変更の迂回件数は、第4週のピーク時の9,572件から第11週には3,718件へと61%減少しましたが、直近の2週間は依然として紛争前の基準値を大きく上回っています。第10週と第11週の間の週次変化率はマイナス1.8%であり、これは11週間を通じて最小の変動幅です。ルート変更の対応が概ね吸収されたことを明確に示しています。
しかし、ルート変更の緩和が混雑の緩和に直結しているわけではありません。最も負荷の高い港湾での輸入滞留時間は上昇し続けており、ジェベル・アリ(UAE)、メルシン(トルコ)、イスケンデルン(トルコ)はいずれも第11週に混乱後の最高値、あるいはそれに近い数値を記録しています。特にUAEの諸港湾における輸出滞留時間は輸入滞留時間よりも大幅に高く、輸出フローが依然として主要な制約要因となっていることを示唆しています。
喜望峰を回る長距離のルート変更は依然として活発です。特にダーバン港(南アフリカ)では、週次TEU取扱量が紛争前の基準値を大きく上回り続けており、キャリア各社がアフリカ航路を一時的な代替策ではなく、構造的な選択肢として位置づけていることを示しています。
週次ルート迂回件数が混乱開始以来の最低水準に到達
週次のルート迂回件数は第4週に9,572件でピークに達し、その後は段階的に減少しました。下のチャートは、11週間の全軌跡を示しています。

第10週は3,788件、第11週は3,718件のルート変更を記録し、週次変化率はマイナス1.8%でした。これは混乱発生以来、最も小さい週次変動です。それ以前の週では、プラス28.3%(第3週対第4週)からマイナス39.5%(第5週対第6週)までの大きな変動が見られました。
第10週と第11週の間の横ばい状態は、キャリア各社が航路変更へへの対応をほぼ完了し、現在は新たな混乱に反応するのではなく、改定された航路体制の中で業務を運営していることを示唆しています。
輸入滞留時間は依然として高く、湾岸地域を超えて波及
第11週の輸入滞留時間でランク付けすると、最も負荷の高い6つの港湾には、UAEのジェベル・アリ、トルコの2港(イスケンデルンとメルシン)、およびインドの3港(エンノール、ハジラ、ナビムンバイ)が名を連ねています。トルコとインドで二次的な混雑が顕在しているというこの地理的な広がりは、混乱が湾岸近隣地域をはるかに超えて波及していることを示しています。

ジェベル・アリ(UAE)は依然として、単独で最も負荷の高い港です。輸入滞留時間は第10週に54.60日、第11週には52.53日へとわずかに緩和されました。このわずかな緩和があってもなお、ジェベル・アリは紛争前の基準値である7.95日の6.6倍で稼働しています。
トルコの2港湾では、第11週に最も急激な上昇を見せました。イスケンデルンは第10週の20.21日から第11週には24.28日へと上昇し、トップ6の港湾の中で単一週として最大の上昇幅を記録しました。メルシンも同期間に17.45日から21.91日へと上昇しました。両港とも、紛争前は10日を大幅に下回る日数で稼働していました。
インドの3つの港湾については、異なる状況を見せています。エンノールは第10週の10.76日から第11週には16.85日へと、1週間で急激に上昇しました。ハジラは11.03日から15.08日へと上昇しました。一方、ナビムンバイは14.43日とほぼ横ばいで、第9週のピークである14.44日と実質的に横ばいを維持しています。
UAEの港湾では輸出滞留時間が主要な制約要因に
最も負荷の高い諸港において、輸出滞留時間は輸入滞留時間よりも実質的に高くなっています。下のチャートは、第11週の輸出滞留時間に基づいた上位6港湾のランキングです。

ジェベル・アリ(UAE)の状況は際立っています。第11週の輸出滞留時間は59.54日で、紛争前の基準値17.16日の3.5倍に相当します。また、第1週以降、毎週50日を超えています。これは輸入側で見られるのと同じパターンですが、より深刻に定着しています。混乱が始まって以来、輸出フローは紺頼開始以来継続的に制約を受けている状態にあります。
この同じデータの中で、紛争前の基準値を明らかに上回っているもう一つの港はインドのハジラで、基準平均5.17日に対し第11週は8.81日(基準の1.7倍)でした。トルコのイスケンデルン、インドのナビムンバイとエンノールは、第11週時点で紛争前の輸出滞留時間と同等か、それを下回っています(イスケンデルン:8.59対紛争前9.02、ナビムンバイ:5.23対紛争前4.96、エンノール:3.81対紛争前5.92)。
第11週の主要な迂回レーン
迂回件数はごく限られた地域内レーンに集中しています。第11週の出荷数上位10レーンは、第11週の全ルート変更の47.8%を占めており、最大規模の単一レーン(本来ジェベル・アリに向かうはずだった貨物がホール・ファッカンへ変更されたもの)だけで、その週の総数の14.1%を占めています。各レーンは「元の目的地 → 新しい目的地」と表記されており、例えば「ジェッダ → サラーラ」という項目は、本来ジェッダに向かう予定だった貨物がサラーラに迂回されたことを意味します。

第11週で最大のルート変更は、本来ジェベル・アリ(UAE)を目的地としていた貨物がホール・ファッカン(UAE)へ振り替えられたもので、第11週の全ルート変更の14.1%を占めました。この「ジェベル・アリ → ホール・ファッカン」の代替は、混乱期間を通じた累積でも最大となっています。このパターンは、ジェベル・アリが混雑している際、ホール・ファッカンが事実上の代替荷揚港として機能していることを示しています。
レーン2と3には紅海の代替パターンが明確に現れています。第11週では、本来ジェッダ(サウジアラビア)に向かうはずだった貨物の9.5%がサラーラ(オマーン)へ、本来サラーラに向かうはずだった貨物の5.2%がジェッダへとルート変更されました。「ジェッダ → サラーラ」および「サラーラ → ジェッダ」の両レーンは、11週間の混乱を通じた累積ではいずれも小規模にとどまっており、これらが長年の定常的ななフローではなく、今回の混乱に紐づいた最近の代替措置であることを示唆しています。
混乱の後半になって、2つの新しいルート変更が現れました。本来ホール・ファッカン(UAE)に向かうはずだった貨物の4.5%がカンドラ(インド)へ振り替えられましたが、これは「ホール・ファッカン → カンドラ」レーンはそれ以前の週には見られなかった迂回ルートです。同様に「シャルジャ → ジェッダ」も第11週のルート変更の2.2%を占め、11週間の累積活動のほぼすべてが第11週に発生しています。
喜望峰経由のルート変更は依然として活発
アフリカを経由する長距離のルート変更は、混乱から11週間が経過しても、ネットワークにおける重要な特徴であり続けています。下のチャートは、監視対象となっている5つの喜望峰ルート上の港における週間の入港数と出港数を示しています。
南アフリカのダーバンが最も大きな役割を担っています。同港の第11週の入港数は76,151 TEUで、紛争前の週平均56,272 TEUを35%上回りました。出港数は72,336 TEUで、紛争前の平均53,930 TEUを34%上回っています。ケープタウンは入港数が40,426 TEU(基準値32,858を23%上回る)、出港数が39,014 TEU(基準値32,722を19%上回る)でした。
ウォルビスベイ(ナミビア)とポートエリザベス(南アフリカ)は、週次のh変動が大きく、より不安定なパターンを見せています。ウォルビスベイの第11週の入港数は31,584 TEU(基準値30,024と概ね一致)、出港数は36,372 TEU(基準値31,126を17%上回る)でした。ポートエリザベスは、第6週に46,865 TEUの急増を記録した後、第11週には8,685 TEUと低水準に落ち着いています。
マプト港湾(モザンビーク)は混乱期間を通じて概ね紛争前の水準を維持しており、第11週の入港数は5,973 TEU、出港数は6,073 TEUでした。これら5つの喜望峰ルート上の港を総合すると、アフリカ航路が紛争前の基準値に対してかなりの追加ボリュームを吸収していることがわかりますが、そのボリュームはダーバン港湾、そして次いで程度は低いもののケープタウン港湾に集中しています。



